ビーンの本棚

小説や自己啓発本の感想文

寺地はるな 『雨夜の星たち』

必要以上の感傷は、人生の荷物になるからー

 

あらすじ

できないことは、できません。やりたくないことも、やりません。三葉雨音は他人に感情移入できない26歳。同僚星崎くんの退職を機に、仕事を辞める。他人に興味を持たない長所を見込まれ三葉は「お見舞い代行業」にスカウトされ、移動手段のないお年寄りの病院送迎や雑用をする「しごと」をはじめる。

 

登場人物

三葉雨音…26歳。職業はお見舞い代行。他人に興味がない。

霧島開…三葉の雇い主。喫茶店(傘)の店主。

リルカ…スナックで働く、感情が豊かで共感能力が高い霧島の彼女。38歳。

星崎総司…三葉の元同僚。絶賛失踪中。

 

依頼主

田嶋セツコ…病院への送迎。聞き上手な80歳。霧島と何か関係あり。

権藤…肝臓の病気で入院中の70歳。

清川好美…手術の付き添い。配偶者なしの42歳。

 

感想

他人の感情に必要以上に関心を持たない三葉の仕事ぶり、そこに関わる依頼人の心情や生い立ち。三葉の距離感の掴めなさや不器用な生活は人間味が出てて良い。

お見舞い代行という仕事もこれから超高齢社会を迎える日本には欠かせない職業になってきそう

ストーリーは読みやすく、是非タイトルにもある雨が降った夜に呼んで欲しい一冊であります。