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小説や自己啓発本の感想文

町田そのこ 『52ヘルツのクジラたち』

あらすじ

自分の人生を家族に搾取された女性:貴瑚と母に虐待され「ムシ」と呼ばれている少年。孤独ゆえに愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語ー

 

感想

無償の愛が欲しさゆえ、暴力をされても我慢してしまう子供の心情、自分の思い描いてた理想像と現実の乖離にもがき苦しみ、行き場のない感情を自ら産んだ子に手を挙げてしまう親の現実。

貴瑚は母親の愛情欲しく、実母の暴力、義父の介護、誰も頼れる存在が無く、心が擦り切れるまで我慢を強いられた。だが、偶然出会った親友と盟友によって家族という監獄から救いだされた。

ムシ(愛)は幼い頃に実母からタバコを舌に擦り付けられるという虐待受け、人と言葉を話せない。実母の故郷に来てからも日常的に実母と祖父から暴力をうけている。そして、逃げるように外を彷徨っていた所、貴瑚と運命的を果たす。同じ境遇を持つ2人は新たな人生を踏み出そうとしている。

 

52ヘルツのクジラーこの意味を分かった時、この小説の価値が変わるような気がする。